”反日”の悲しき背景?

澤田克己 (毎日新聞記者、元ソウル支局長)「日本は韓国にとって”特別な国“」は冷戦終結で終わった 日韓関係の構造的変化を考える(2) http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15370

この30年の間に、韓国における日本の存在感は驚くほど低下した。韓国側からあまりにも「軽い」発言が出てくる背景には、この日本の存在感低下がある。こうした韓国側による認識の「軽さ」は極めて問題だが、一方で冷戦終結という世界史的な出来事の影響を考えると日本の存在感低下という現象は必然のものだった。

なるほど。韓国にとっては政治的にも、日米を基軸とした外交から、中国、東南アジア、EUなど多角的な外交に展開していることが示されている。貿易に関しても以下。

日韓国交正常化から5年たった70年を見ると、韓国の貿易相手国としてのシェアは日本が37%、米国が34.8%で合計すると7割に達した。日米の比率は徐々に落ちていくが、90年でも日本23.1%、米国26.9%で貿易全体の半分が日米を相手としたものだった。ただ日米合計の比率が50%を超えたのは90年が最後で、その後は直線的に落ちていく。韓国がOECDに加盟した96年には30%台となり、04年には20%台、11年にはついに10%台となった。昨年(18年)は日本7.5%、米国11.5%で計19%である。

 80年代から細々とした交易が始まった中国のシェアは90年に2.1%だったが、01年に10.8%、09年には初めて2割の大台に乗せるとともに日米合計(20.1%)を上回る20.5%と順調に伸びた。昨年は23.6%に達している。

South Korea’s Faustian Dilemma: China-ROK Economic and Diplomatic Ties (Part I) https://piie.com/blogs/north-korea-witness-transformation/south-koreas-faustian-dilemma-china-rok-economic-and-0 を確認。たしかに。

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韓国にとって日本はそれほど重要な国ではなくなっているという指摘。一部日本の保守系政治家は、票になるから言っているのだ、と”反日”的な発言をする韓国の政治家をなじるが、もはや韓国の有権者にも関心は低く、単に日韓関係がギクシャクしたところで韓国にとってたいした意味はないので踏み込んだ発言に対するストッパーが効かないだけ、という見方もできそう。以前の”反日”発言とは背景が違っていているようだ。