ゴーン氏保釈と国際世論

ゴーン氏、保釈。黄色ではなく、オレンジ色の反射べストだったのは、大使館の車まで出してくれたフランス政府への恩義から「黄色いベスト」にしたくなかったからだろうか。

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(保釈時の様子@「every.」日本テレビ

ゴーン氏の罪と罰については今後の司法で議論されていくことと思うが、ひとつ日本全体にとって痛手だったのは、長期勾留や弁護士の同席しない長時間の取り調べなど司法制度に対する国際的な批判が高まったことであったのではないか。公判前整理手続きを終えずに保釈したのは、裁判所としてもこうした国際世論を意識したとの指摘もある。フランス政府が大使館の車で東京拘置所にゴーン氏の家族を乗せてきたのも、「人権」の国としてこの問題を注視しているとのメッセージとも取れる。

あえて「日本の司法」ではなく「日本」全体としたのは、ことは司法の問題ではない。政府は近年、社外取締役制度の導入など国際標準のビジネス環境作りに力を注いできた。しかし、司法制度に対する国際的な信頼・信用が傷つくとグローバルなビジネス環境の整備に対してもアゲインストである。今後政府が、民事のみならず刑事の分野まで踏み込むのか、注目していきたい。