若者の右傾化に関するオンライン調査

若者の右傾化には様々な議論があるが、

稲増 一憲,三浦 麻子,オンライン調査を用いた「大学生の保守化」の検証 : 彼らは何を保守しているのか (藤原武弘教授退職記念号) 関西学院大学社会学部紀要 0452-9456 関西学院大学社会学部研究会 2015-03 120 53-63

オンラインで読めます。

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イデオロギーについては「大学生においては社会人に比べ、やや保守的な者が多く革新的な者が少なかった」、個別の政策についても「靖国参拝原子力発電においては大学生の方が明らかに保守的な態度を持っていた」(図も含めp.58)という結果となっている。

 一方で、憲法改正集団的自衛権という安全保障に関わる争点については、それに対する態度と保革イデオロギーを結びつける正確な知識を持つ大学生は少なかった。つまり争点態度とイデオロギーに関する知識が一致していないものが多いとの結果であった。

さて、靖国原発に関しては一致度が高かったのであるが、著者らはその理由を次のように考える。

なぜ、靖国参拝原子力発電という 2 つの争点においては保革イデオロギーと争点態度 の関連についての知識を持つ大学生が多かったの かという点については、本研究における分析のみから結論づけることはできないが、ひとつの可能性としては、これらが 2013 年末から 2014 年初に おいて顕出性の高い争点であったことが挙げられ るだろう。つまり、彼らにおいて保革イデオロギ ーとは、多くの争点態度を統合する構造ではなく、顕出性の高い一部の争点についての態度を表す記号として機能していたため、実際に与野党間で議論となった争点においてのみ、保革イデオロギーと争点との関連が理解されたという可能性で ある。

 

論文の検証とは全く関係ないけれど、 靖国参拝原子力発電に関する学生の争点態度は、自分自身がそう考えるからそうなのではなく、安倍政権が賛成しているから支持するということなのではないか、とふと思った。これもサーベイ実験などで出来そうだし、誰かもうやっているのかもしれない。やってるっぽいな。(誰か知ってたら教えてください。)

 

まあ先行研究でAlford, Funk, and Hibbing(2005)あたりが引かれていたんですけど、で、それはどういう研究かというと、 

Alford, Funk, and Hibbing(2005) は、個々の争点については環境の影響が強いものの、イデオロギーについては環境よりも遺伝による影響が大きく、保守─リベラルイデオロギーの 半分程度の分散が遺伝によって説明されるという 結果を示している

なんですが、移民政策に舵を切って彼らに参政権を与えない限り、ほぼほぼ日本は保守政権の国にならざるを得ないんですよ。だから政権交代可能な政党システムを考えたいなら、そこで「第二保守党論」なんですよ()!